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「牛乳と少年の恋 EPISODE U」


 話は進んで、そのあと映画館へ。
つまらないラブストーリーモノなんですが、彼女が見たいっていうので。
「あ〜気が合うね俺もこの映画見たかったんだ♪」
と、適当なことを言って会話を盛り上げました。
 ほんとは「殴る撃つ爆破する」というような映画が好きなんです。
さてさて、映画が始まりました。
つまんねー映画だと思いながらも、仕方なく見ていました。
話が盛り上がってきた映画開始から30分頃のことです。
 括約筋に違和感が・・・
しかし、映画の途中、ここでトイレになんて行こうものなら
「きっとウンチョだわ!!最低!!ふん!!わたしもう先に帰っちゃお!!」
なんてことになりかねない。せっかくのデートが台無しになる。
 男ならここは我慢するしかない!と訳の分からない決意を固め、自分の括約筋にすべてを託しました。
 もう映画なんて眼中にありません。全神経を括約筋に集中させてひたすら悪の大王ウンチョと戦いました。
顔面蒼白、あぶら汗ダラダラ、肘掛けを握りしめてじっと我慢の子。
 
 もしこの時に神様が降臨してくれていたら、迷わず
「わたしのウンチョをおとなしくさせてください」
とお願いしていたでしょう。それが一生に一度の願い事でもそうお願いしたはずです。
 
 耐えること1時間映画がクライマックスにでもなったのでしょう。
隣の彼女を見るとうっすらと瞳に涙を浮かべていました。しかし泣きたいのはこっちのほうです。
 しかも、感極まった彼女が肘掛けを握りしめている僕の手に白く可憐な彼女の手をのせてきたのです。
キスどころか、手さえつないだことがなかったのに!!
「ケンチ感激っす!!」
と思った瞬間ウンチョがノルマンディー上陸作戦のように一気に総攻撃をかけてきたのです。
気を抜いた瞬間を突かれた見事な攻撃です。
 もうだめ!!我慢できましぇん!!
「ゴメン」
と一言だけいって彼女の手を荒っぽく払いのけ一目散にトイレへ。
 走りたくても走ればコンニチハ状態。出来る限りの早足で、彼女を残したままトイレへ。
 「ワレ テキヲ カイメツセリ」
何とか間にあい、長い戦いに終止符を打つことが出来ました。
「あ〜スッキリ♪生きてるってスバラシイ♪」
 しかし、ふと気がつくと荒っぽく彼女の手を払いのけた自分に気付きました。
「あああ!!なんてことだ!!なんて言い訳すればいいんだ!!」
 いろんな言い訳を考えながら彼女がいる席に歩いていきました。ホントにいろんな言い訳を考えながら・・・
しかし、ケンチコンピュータをフル稼働して考えた言い訳は使われることはありませんでした。
 彼女が座っていたはずの席には暗闇があるだけ・・・

 
 僕は今でも牛乳が好きです。
いつかきっと牛乳を飲んでもおなかが平気な薬を誰かが発明してくれることを願ってやみません。

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