alone in the mountain
カシミール3Dで地形図を作ろう
カシミールで地形図を作ると、山でとても使いやすい地図を作ることが出来ます。お金も節約できるし一石二鳥です。

 2006年1月21日記載


 山にはどんな地図を持っていっていますか?

 一番多いのは昭文社が出している「山と高原地図」でしょうか。
コースタイムも書いてあるし、危険なところにはマークも入っています。
確かに「山と高原地図」は使いやすいのですが、いくつかの短所もあります。

 使っていて一番困ったのは縮尺が統一されていないことでした。ある地図は1/50000だったり、ある地図は1/30000だったり、ものによっては1/80000なども混じっています。

 これでは地図が変わるごとに距離感がチンプンカンプンになってしまいます。他には緯度経度のラインが大雑把なのでGPSと連携させにくいというのもあります。また、磁北線を自分で引かなければならないのでコンパスを使った正確な読図をしようと思うと自分で三角関数を使った計算が必要になったり、多少の工夫が必要になったりします。

 100%道迷いをしない神様のような人や、踏み後バッチリで分岐などない一本道の登山道を歩くだけなら「山と高原地図」でもいいと思うのですが、僕のように方向音痴だけどバリエーションルートが大好きな無謀登山者にはやはり「山と高原地図」では山で使うのに不安が残ります。

 あくまで「山と高原地図」は山行計画に使うものであって、山で使うには「ちょっとアレ」というのが僕の意見です。他にも山岳系の地図や地形図なども売られていますが、どれも満足のいくものではありませんでした。

 そんなこんなで、僕はカシミール3D(http://www.kashmir3d.com/)という山岳フリーソフトを使って自分で使いやすい地図を作って山に持って行くようになりました。

 今回は、僕がカシミール3D(http://www.kashmir3d.com/)で作っている地形図の作り方を紹介したいと思います。




  いろいろ書きましたがやっぱり正直に書いておきます。

 僕が市販されている地図を使わずに自作の地図で山に行っている本当の理由は、使い勝手どうこうではなく貧乏だからなんです(;´д`)

 地図を買う金もねーよ!
 


 カシミール3D(http://www.kashmir3d.com/)の基本的な使い方などは本家のサイトや、書籍なども発売されているのでそちらを参考にしてくださいね。

 カシミール3D(http://www.kashmir3d.com/)ではさまざまな地図を表示させることが可能ですが、僕は国土地理院の地図閲覧サービスに50mメッシュの標高データを重ねて使っています。以前は山旅のものを使っていたのですが山旅の地図は毎年お金を払わなければならないのでボンビーな僕には継続利用することが不可能でした(貧)


 それでは、僕の地形図作りの方法です。

 通常、カシミールを起動させると図のような地図が表示されると思います。

 このまま印刷して地図として使うことも可能ですが、このままだと等高線が塗りつぶされぎみになっていて、詳しい標高を読み取るのに骨が折れます。

 しかも等高線が分かりにくいと、地形を読むのにも苦労します。

 これでは山では使えません。

 そんなワケで、まずは等高線を見やすいように設定を変更します。

 等高線を見やすくするには上に並んでるアイコンから「パレットの設定」というアイコンをクリックします。


  アイコンをクリックすると図のような画面が開くので「新規作成」をクリックします。

 すると「新規」という新しいパレットが作られるので、それを選択してから右上の「編集」ボタンを押してください。

 「編集」ボタンをクリックすると図のようなパレットの設定画面が表示されます。

 タイトルの欄に分かりやすく「地形図」などの名前をつけましょう。

 次に標高によって色を変化させる項目があるのですが、コレは必要ないので「削除ボタン」を押してすべて削除してしまいます。

 ちなみに削除しなくても、削除ボタンの左隣のもうひとつ隣にあるカラーの選択ボタンで「白」を選択しても同じ効果があります。

 削除し終わったら「OK」ボタンを押して設定画面をすべて閉じます。



  これで市販の地形図とまったく同じ色になり等高線が読みやすくなりました。


  このまま印刷しても地形図として使えるのですが、もう少し山で使いやすくしてみましょう。

 特に山にGPSを持っていっている人には使いやすい地図になると思います。

 GPSを使わない人でも山座同定を楽しみたい人や短時間で正確な読図をしたい人にもオススメです。

 上に並んでいるアイコンから「表示の設定」をクリックします。

 表示の設定画面の中から「緯線経線タブ」をクリックすると左のような画面になります。


 ここで以下の設定を変更します。

・ 「表示する」にチェックを入れる。
・ 間隔(緯度)を1分にする。
・ 間隔(経度)を1分にする。
・ 線色を邪魔にはならないが見やすい色にする。(僕は濃いグレーを選んでいます。)
・ 線幅を2にする。
・ 線種を一番細い実線にする。

 これらの設定をしてから右下の「適用」ボタンを押します。

 開いたままになっている表示の設定画面から次に「緯線経線(補助線)タブ」を選びます。

 ここは次のように設定を変更します。

・ 「補助線を表示する」にチェックをいれる。
・ 間隔(緯度)を10秒にする。
・ 間隔(経度)を10秒にする。
・ 線色をさきほど経線の設定で選んだ色と同じ色を選ぶ。
・ 線幅を1にする。
・ 線種は細い点線を選ぶ。
(僕は上から二番目の点線を選んでいます。)

 これらの設定をしてから右下の「適用」ボタンを押します。


 開いたままになっている表示の設定画面から「磁北線タブ」を選びます。

 ここは次のように設定を変更します。

・ 「表示する」にチェックを入れる。
・ 間隔(緯度)を1分にする。
・ 間隔(経度)を1分にする。
・ 線色を目立つ色にする。
(僕は赤を使っています。)
・ 線幅を1にする。
・ 線種を一番細い実線にする。

 これらの設定をしてから右下の「適用」ボタンを押します。

これで設定は終わりなので「OK」ボタンを押して表示の設定画面を閉じましょう。

 これまでの設定で図のような地図が出来上がります。

 これだと標高も読めて、GPSの緯度経度の値から現在位置を確認するのも容易で、磁北線とコンパスを使っての正確なルート選択や読図も可能になります。

 僕はこの地図をA4用紙に印刷して持っていっています。この地図にはコースタイムなどはかかれていませんが、僕は標高差からだいたいの見当を付けてプランを立てています。

 コースタイムが気になる方はインターネットや立ち読み(wで情報収集して手書きで書き込めばいいと思います。

 インク代と紙代しかかかっていないので躊躇せずになんでも書き込めます。

 次に印刷のコツを紹介します。


 まずは左上の「ファイル(F)」から「印刷」を選択し、さらに「表示範囲を印刷」を選択します。

 すると図の印刷設定画面に切り替わります。

 ここでの設定は

・「縮尺を指定して印刷」にチェックをいれます。
・縮尺は1:25,000を選ぶとよいでしょう。
・「1頁に入るように範囲を拡大・縮小する」にチェックを入れます。

 これらの設定をしてから右下の「適用」ボタンを押します。

 同じ設定画面で緯線・経線のタブをクリックします。

 ここでの設定ですが

・緯線経線の数値を印刷にチェックを入れます。
・ddd mm ss (度分秒)にチェックを入れます。
・数値の表示間隔を6にします。

( 好みに合わせてフォントを変えるのもいいと思います。)

 これらの設定をしてから右下の「適用」ボタンを押します。

 再び「印刷全般」のタブを押してプリンタの設定も変更しましょう。

 プリンタの設定を変更するには右下のプリンタ設定をクリックします。

 プリンタの設定画面はお持ちのプリンタによってさまざまだと思いますが、エプソン製のプリンタの場合は大体図のようになっていると思います。

  ここでプリンタの印刷プレビューを有効にします。

 これをすることにより印刷失敗による紙の無駄をなくしたり、自分の欲しいエリアの印刷を正確におこなうことが出来ます。

 他には用紙の縦横を印刷したいエリアにあわせて変えたり、印刷の美しさの設定などを好みにあわせて変更してください。

 繰り返しになりますが、この項目で忘れてはならないのは印刷プレビューを有効にすることです。

 プリンタの設定が終わったら印刷設定画面に戻り「OK」ボタンを押します。

 通常ならこれで印刷が開始されるのですが、印刷のプレビューを有効にしているので、まず印刷プレビュー画面が開きます。


 これが印刷プレビュー画面です。

 画面の拡大などを使って印刷したいエリアがちゃんと入っているか確認します。

 もし印刷エリアを少しずらしたいと思ったときは再びカシミールの地図表示画面に戻り、地図の中心部をずらしてからまた印刷プレビューを見てください。

 目印になる特徴ある地形などが印刷エリアに入っていると現場で役に立ちます。

 また左の図のように一部のエリアが白くなって表示されない場合は、インターネットからの地図の取り込みが出来ていないので、カシミールに戻って取り込みされていないエリアの地図を読み込ませてから再び印刷プレビューで確認してください。

 僕の場合、実際に印刷する前に4,5回はこの印刷プレビューで確認し、印刷したいエリアを何度も設定しなおして納得がいく状態になってから印刷するようにしています。

 印刷した地図は水に弱いので写真のようにビニール袋に入れて使用しています。

 これだと雨の日に使用しても問題ないですし、乱暴にポケットに突っ込んだりしても破れることがありません。

 こういったチャック式の袋は100均などで10枚100円などで売っています。

 カシミールで印刷した地図は縮尺に多少の誤差があるようですが、実際に山で使用するのに問題が出るほどの誤差はないので、安心して使うことが出来ます。


 僕は山で積極的にGPSとコンパスを使う登山者なのでこのような地図を使っていますが、必要がなければ緯度経度の線を消したり、印刷前にビットマップに変換してコメントや写真を貼り付けた美しく楽しい地図を作ることも可能だと思います。

 自分自身で使いやすい地図を模索しながら、地図を進化させていくのも楽しいものだと思います。



 今回は結構マジメに書いたなぁ。


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