孤独(大普賢岳)
2005/01/28〜29
メンバー
ぐり〜ん♪
天候 くもり時々晴れ
山域 大峰山系(奈良県)
行程
和佐又口→和佐又ヒュッテ→笙の窟→小普賢岳→大普賢岳 (ピストン)
画像をクリックすると大きな画像が表示されます。
これまでにテントで寝た回数は500をくだらない。
もしかすると600泊を超えているかもしれない。テント泊に関してだけ言えばベテランといってもいいだろう。
だけど、どんなに回数をこなしても単独行の一泊目の夜はかならず孤独感に襲われる。病的ともいえるような孤独感に襲われる。
雪中キャンプ
一人メシを食らう
今回もそうだった。誰もいないテント場でひとりぼっちでテントの中にいると、孤独感に押しつぶされ息が苦しくなってくるほどだった。
そんなふうに孤独に飲み込まれそうになった時、僕はいつもテントの入り口を開け放ち外の景色を眺めるようにしている。外気温が氷点下であっても入り口を全開にして外の景色を眺めるのだ。
そうしていると周りの空気と自分の魂の境界線が薄れてきて、自然との一体感が生まれてくる。すると少しずつ孤独感が消えてゆき、ようやく心が山に向かうようになってくるのだ。
凍てつく朝
つらら
ってなわけで、和佐又林道始点脇のトイレにバイクを止めて林道をトボトボ歩き、和佐又のテント場でテントを張って一晩過ごし、翌朝、和佐又コルまで登り、笙の窟手前の梯子が埋まった雪壁でアイゼンピッケルを装着、特に難かしい所もなく石の鼻を通過し、夏は通らない小普賢岳の山頂に到着しました(早)
あー、今回も身のない山行記でゴメンナサイ。
石の鼻
小普賢岳
小普賢岳までは順調に進んでたんだけど、小普賢岳と大普賢岳の間にあるコルへの下降でルートを間違ってしまいザイルなしでは下降不可な場所にぶち当たってしまいました。
ザイルとハーネスはしっかりと持ってきていたので懸垂下降してクリアしようかとも思ったのですが、下降に使えそうなルンゼは当日の高温(下界の天気予報では1月末なのに予想最高気温が15℃)のため上部に亀裂が入っていて、いつ雪崩てもおかしくないような状況でした。
「うーむ」と悩んだ末、単独行で雪崩に巻き込まれたら20分ほど苦しさと孤独に襲われながらジワジワと死ななきゃならないだろうということで懸垂下降はパス。おとなしく登り返して別ルートを探すことにしました。登り返しは湿雪の腰までラッセルで半泣きでしたが雪崩に巻き込まれることを考えればまぁマシです。
緊張
なんとか別ルートで下降し、コルまで着いて大普賢岳への登りになるワケですが、ここからがめちゃめちゃ怖かったです。
この日は高温のため雪が腐っていて、普通に歩いていると時々ズボッ!と股の付け根まで足が埋まったりしてたんですよ。山側の足が埋まるのは怖くないんだけど、谷側の足が埋まるとそれはもう怖い怖い。
いきなりクレバスに飲み込まれたようにズボッ!っと落ちて谷側にバランスを崩すと、下はスパッと切れ落ちた奈落の底。山側にピッケルを刺して抜け出そうとしても一人ではそう簡単には抜け出せないし。。。
それより怖かったのは2回ほどある雪壁のトラバース。
雪が締まっていればアイゼンとピッケルを使ってなんなく抜けられそうなところなんだけど、雪が腐っているから、いつ自分の足元が崩れるか分からない状態。しかも下を見ればスッパリと切れ落ちて地面が見えないような雪壁。落ちればタダじゃすまないことは容易に想像がつきます。普段どんなに粋がっていても死ぬのはやっぱイヤなのでゆっくり確実に進んでいきました。大きなアクションだとすぐにでも足元が崩れそうなので一度に20センチくらいの横移動でゆっくりゆっくりと通過。
そこを越えた後も雪壁やミックスっぽいところを越えたり、岩が太陽に温められていかにも底雪崩の置きそうな地形を超えて、無事に山頂へ到着しました。
思っていた以上に歯ごたえのある登山だったので、登頂時の満足感はかなりのものでした。
ひとりで柳沢信吾風無線通信ゴッコでBCに登頂報告をするフリをしたり(寂)、カロリーメイトを齧ったり(貧)、どこまで雪庇の先端までいけるか根性試しをしたりしてから(嘘)下山しました。
山頂の雪庇
登頂
下山時にはさらに気温が上がり、木の枝から雨のように雫が落ちてきていて、全身びしょ濡れになってしまいました。ずーっと雨の中を歩いているような感じでちょいとブルーでした。
そうそう、下山時に雪崩をみました。
後方でザザザーっと大きな音がしたので振り返ってみたら、ルンゼ状の地形で小規模な雪崩が起きていました。
自分が通過してる最中にあれがおきていたらイヤーンな感じだったろうなぁ(ノンキ)
あとこのコースなんだけど、僕が単独で行けたくらいだから楽勝コースなんだろうななんて勘違いして軽アイゼンなんかで行ったりしないでくださいね。毎年のように遭難者が出てるようなコースなんでちゃんと雪山フル装備で経験者と一緒に行くようにしてくださいね。初心者同行の場合はザイルもあったほうが安心だと思います。
なんてもっともらしいことを書いて苦情が来ないようにまとめておいて終わりにします(逃)
[
山行記録 index へ
]
[
home
]