はいはい、どうもどうも。
googleで「ソロクライミング」って検索してここに来ちゃいましたか?
ソロクライマーはソロクライマーでも、ここは三流ソロクライマーの山行記なんですよ(;´д`)一流ソロクライマーのことが知りたければ山野井さんちへのリンクを張っておくんでそっちを見てくださいね→リンク
そんなこんなで、三流ソロクライマーの山行記をはじめます。
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登ってきたのは上の写真の真ん中のリッジ「剱岳本峰南壁A2」です。
このルートを選んだ理由はアレでして、山行記を書くときに「剱岳南壁ソロ」なんてタイトルをつけるとなんかカッチョいいなぁと思い、このルートを登ることに決定しました。このタイトルを山行記に使うためだけに2万円の交通費と3日の休暇と13500kcalのエネルギーを消費してきたのです。
だってね、「奥鐘山西壁広島中央ルート」なんかより「剱岳南壁」の方がネーミング的に一般受けしそうじゃないですか。ルートのグレードでは「奥鐘山西壁広島中央ルート」の方が「剱岳南壁」の100倍くらい上なんだけど、一般登山者からしたら、まず「剱岳」ってネーミングで「おおおお」って歓声がおきちゃうし、しかもそれに「南壁」なんて単語までつけちゃったら、もう読者のみなさん興奮しちゃって失禁者続出ですよ!
ええそうです。
僕はコケオドシとミエだけで生きてます(-_☆)キラーン
っていうか僕には「奥鐘山西壁広島中央ルート」なんて逆立ちしたって登れないです(;´д`)
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ホントは徹夜明けで居眠りしながら歩いた雷鳥沢の登りの話や、一般ルートで歩いた平蔵コルまでの話も書きたいんですが、そこから書くと話が長くなるので登攀前のキジ撃ちの話からはじめますね(汚)
僕はいつもクライミング前にウンチョがしたくなるんですよ。
ああ、スンマセン。
ウンチョの話なんて聞きたくないですね。
そんじゃキジ撃ちの話もすっ飛ばして1ピッチ目から、話を始めます。
まずは、すぐにそれとわかるテラスから登り始めます。
通常のクライミングの支点としては使えるであろうハーケンが3,4本打ってあるのですが、いつの時代のハーケンかわからないくらいサビサビのハーケンで、ソロクライミングのアンカーとしては頼りなさそうなので2本ほどハーケンを打ち足して登攀開始しました。
凹角からフェースへと繋ぐピッチですが、岩が脆いと言われる南壁らしからぬしっかりとした壁でした。
次のテラス到着時点でザイルがまだ15mほど残っていたので、テラスを超え次のピッチのハイマツのリッジにあるテーブル状の岩にハーケンを2本打ち足しアンカーとしました。
ほいで、ソロクライミングなのでもう一度懸垂下降で下のテラスまで戻り、アンカーを解いてから荷物を背負って再び登り返します。
当然、貧乏なのでハーケンは回収します。
山に残すのは思い出とウンチョだけです。
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この本峰南壁A2ルートは、平蔵コルあたりから丸見えなんですよ。
そりゃもう目立つのなんのって
「うわー、あんなところを登ってる人がいるよ!」
「おおお、アレはソロクライミングじゃないですか!」
「キャー、カッチョイイー!」
「イヤーン、私と結婚して〜!」
そんな感じで、応援声援歓喜に感動雨アラレなんですよ。
もうね、そういう声を聞くだけで
「ああ、このルートを選んで正解だったよ」と思うワケです。
これが北尾根四峰正面壁なんかじゃぁ、地味すぎていけないのです。
私生活では冴えない男だから、せめて山だけではワー・キャー言われたいんですよ(涙)
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で、次のピッチはヒジョーに脆い壁でした。
もうあっちゃこっちゃ浮石だらけだし、つかんだガバは動くし、リスにハーケンを打とうと思うと壁ごと破壊しちゃいそうなくらい脆いんですよ。
それでも登りは問題はありませんでした。
いくら脆いといっても気をつけて登ればまったく問題ありません。
むしろ怖いのはアンカー解除に向かうための懸垂下降でした。
登るときは自分が気をつければいいだけですが、懸垂下降中にザイルが浮石を引っ掛けるのは気のつけようがありません。
それでも浮石をどけたりしながら懸垂下降し、再び登り返しました。
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登り返しのときは、ザイルの末端を止め結びしハーネスにタイブロック、さらにハーネスからデイジーチェーンを伸ばしてシャントをセットしバックアップ&簡易ユマーリングとし、トップロープ状態で登りました。
で、登り終わってザイルを引き上げようとすると、ザイルがなにかにひっかかってまったく動きません。こうなると、もう一度懸垂下降をして引っかかったザイルを外しに向かわなければなりません。
浮石だらけの壁をもう一度懸垂下降しなければならないと考えるだけでゲンナリでしたが、懸垂下降するしかザイルを回収する方法はありません。
そしてその懸垂下降中に恐れていたことが起きてしまいました。
下を見ながら懸垂下降をしていたら、上からすぐにそれとわかる嫌な音が響きました。
一番恐れていた落石でした。
振り返ると、大人の頭ほどの大きさの岩が僕に向かってきていました。
その岩は僕の頭上5mあたりで一度壁にあたり、二つの大きな塊に分かれました。
そして、そのひとつがまっすぐに僕の方へ。
もう、避けようがないことが一瞬で理解できました。
ザイルに体重を預けている懸垂下降の姿勢ではどうすることもできませんでした。
しかし、頭の中は冷静でした。
「あたるのなら腕はやめてくれ、足なら一本くらい呉れてやる。腕さえ大丈夫なら足を引きずりながらでも頂上まで行ってやる!」
どこから、勇気がわいてきたのかまったく恐怖心はありませんでした。
そして大人の頭の半分ほどの大きさの岩が僕の右足の脛を直撃しました。
痛みに声を上げるより先に、誰もいないテラスに向かって「ラークッ!」と反射的にコールを出しました。
次に自分に気合を入れるために
「うぉりゃー!負けるかぁ!」 と大声を出しました。
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テラスに降りたち、足の具合を確認しました。
血が滲み、腫れてはいましたが骨には異常はなさそうでした。
で、この落石危険地帯を再度懸垂下降するはめになった、ザイルの引っかかりの原因が上の写真です。
まるでナッツのように止め結びがクラックに食い込んでいます(;´д`)
もうね、なんでオマエはこんな危険なピッチでそんなに見事に引っかかるんだよと。次に同じことやったら9.9mmの太さのテメーを三枚に下ろしちゃうぞと。
この後からは、登り返しの時はタイブロックとシャントで二重に確保しているのだからすっぽ抜けはないだろうと、末端に結び目は作らないことにしました。
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次のピッチはリッジの右側をトラバースするようなピッチでした。
これは登るときはまったく問題ないのですが、降るときは恐怖です。
トラバースということは懸垂下降ができないのでクライムダウンするしかないんです。シャントとエイト環で確保はしてるものの足を滑らせれば振り子のように落下し、大根おろしのように岩肌に身を削られます。
一度は下のテラスに置いている荷物を残置しようかとも考えましたが、貧乏な僕がそんなことを出来るはずもなく、半泣きになりながらクライムダウンしました。
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残すは頂上までの約2ピッチ。
一部、壁っぽい所も出てきますが簡単なピッチなのでザイルは使わず攀じりました。
最後はビシッと山頂の祠の真正面に出てギャラリーを驚かせ再びワー・キャー言われようと、必死にルートファインディングしました。
そしてたどり着いたのが下の写真です。
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ちょっとズレてました(;´д`)
しかも山頂は無人でした(;´д`)
でもね、無人の山頂でギャラリーはいなかったけど、やっぱりスゴク嬉しかったです。落石の直撃にも負けなかったし、小さな困難をいくつも乗り越えての登頂でしたからホントに嬉しかったんです。
誰もいないことをいいことに「オッシャー!」と雄たけびを上げました。
いつもは格好悪い僕だけど、登頂の瞬間の僕はちょっと輝いていて、自分で言うのもなんだけどちょっとカッチョよかったです。
そんなふうに軽く自分に酔っていたのに、股のあたりにちょっと涼しい風を感じたので覗き込んでみたら、なななんとズボンのファスナーが全開じゃあーりませんか(;´д`)
そうです、壁に取り付く前にキジ撃ちをした時から開いてたんです。
ようするに南壁を登ってる間中、ずーーーっとファスナー全開だったんです。
嗚呼、やっぱカッチョ悪い男は何をやってもカッチョ悪い・・・。
唯一の救いは頂上に人がいなかったことでしょう。
もし頂上に人が沢山いたら、ファスナー全開でガッツポーズをする僕はあまりにも惨めです(死)
そんなこんなの山行記でしたが、帰宅後すぐに書いたということもあり、ちょっと長文になってしまいました。
こんな駄文の長文を最後まで読んでくださった方へのプレゼントとして室堂で見つけたクールな絵をご紹介して終わりにしたいと思います。
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つーか、怖すぎ(;´д`)
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