おいーっす。二十日前に彼女に振られたぐり〜ん♪です。どうも!
失恋の寂しさを吹き飛ばすために南アルプスへ登り納めに行ってきました。
本当は失恋の寂しさを完全に吹っ切るために、北アルプスの厳しさでぐろんぐろんにやっつけられに行こうかとも思っていたのですが、北ア南部はクリスマス前に標高2000m以下で雨が降り、その雨が凍った上に大雪が積もってしまい完全に雪崩の巣になってしまったので進路を変更することにしました。
天候的には例年通りの冬型気圧配置の北アの天候だったので行けないこともなかったんだけど、単独行者にとって雪崩の恐怖はハンパじゃありません・・・。
滑落死や凍死なら受け入れられるんだけど、雪崩に埋もれて少しずつ息が出来なくなりながら死んでいくのはちょっとイヤすぎます(;´д`)手も足も動かせず誰かが助けに来る希望も持てず、ただ絶望感に意識を蝕まれながら死んでいくのは怖すぎです。
そんなこんなで今回は失恋の痛手から立ち直ろうという趣旨で、南アルプスの鳳凰三山へ癒し系の登山へ行って参りました。
さて、前置きが長くなったのでいつも通り初日の行程はすっ飛ばして夜叉神峠から南御室小屋までは3行で終わらせます。
12月29日
夜叉神峠で車中泊し、一気に夜叉神小屋まで登り、白根三山の美しさに声を失い、重荷にヒーヒーいいながら、必死の思いで南御室小屋へ到着です。
いつも通り早いね、オレの山行記。この調子だ。

すっ飛ばして書いたけど本当に気持ちのいい天気でした。ポカポカ陽気で上着も全部脱いで薄手のアンダーだけで登れました。あまりに気持ちがよく12月末の南アルプスだというのにグローブもせず一日中素手で行動ができました。
あまりにも暖かいので、もしかしたら雪もそんなに冷たくないんじゃないかと思い素手でさわってみたら本当に冷たくありませんでした。
じゃあ今の気温は何度なんだろうと温度計で確認してみたら、雪山らしい氷点下6℃でした。
僕の寒さの感覚がおかしいだけですね(;´д`)
この異常なまでの耐寒性は僕の唯一の武器なんですが、耐寒性だけでなく体力や技術や高度順応性までも備えていたら、僕は世界有数のヒマラヤニストになれたのになぁと悔しく思います。だけど耐寒性だなんて装備でどうにでもごまかせる能力しか持ってない僕はやはりいつまでたっても三流登山者のままです(トホホ)
翌日(12月30日)は午前5時半に起床し6時半頃にテン場を出発しました。
富士山から登る朝日がまぶしく、雲ひとつない空の元この日も気持ちの良い登山です。
出発からしばらくの樹林帯はちょっと急登だけど、今日は鳳凰三山の往復縦走でピストンなので荷物が軽いため楽勝です。
楽勝、楽勝と思いながらダブルストックで意気揚々と歩いていたんですが、砂払岳に到着したとたんに突風が襲ってきました。
森林限界を超えたのだから風が強くなるのは予想していたんだけど、予想以上の風に思わずストックを持ったまま耐風姿勢を取らざるをえませんでした。
ストラップを腕に通した状態でのダブルストックだったので、とっさに耐風姿勢を取ろうとしてもストラップが邪魔をして、下のイラストみたいにライオンキングのキリンのような格好での耐風姿勢しかとれませんでした(;´д`)
どうでもいいけど絵心がなくてすみません。
っていうか、この絵は確実にオシリになんか刺さってますね。
そんなこんなで、砂払岳を過ぎてからはずーっと強い風が吹きっぱなしでしたが、砂払岳近辺以外は行動に支障が出るほどの烈風ではなく、薬師岳→観音岳→地蔵岳と快調に進めました。
あ、また三行で今日の行程のほとんどを書き終えちゃったよ(;´д`)
っていうか、一番盛り上がるべき鳳凰三山の核心シーンが三行で終わっちゃったよ。
こんなんだから、僕の山行記は役立たずって言われるんですね(w
地蔵岳からは堂々とした甲斐駒が見えました。
一年前の冬に20日前に別れた彼女と登った山です(;´д`)
視線を左にずらすと北岳が見えます。
2年前、20日前に別れた彼女とこの山の岩壁を登攀しました(;´д`)
ぐるっと南に目を向けると一度彼女と移住を検討した三珠の町が遠くに見え、東に目を向けると初めて見る地球の割れ目に子供のように彼女がはしゃいだフォッサマグナが見えました。
そこから少し北に目を向けると、彼女がバテて計画が中止になった八ヶ岳が見えました。
もう一度南に目を向けると、彼女が一番好きな場所のそばにそびえる富士山が見えました。
僕らが住む街からは何百キロも離れた山の上にいるのに、その山のまわりには彼女との思い出が無数に散らばっていました。
この縦走の最終目的地・地蔵岳オベリスク。
僕は何度も後ろを振り返りながらオベリスクを攀じ登りました。
そこに彼女がいるかのように、「まほ、大丈夫?登ってこれる?」と話しかけながらオベリスクを攀じ登りました。
後ろを振り返ればいつものように彼女がそこで微笑んでいるような気がしたからです。
僕はひとりぼっちという現実を受け入れられず、何度も何度も後ろを振り返りました。
だけど、何度振り返っても彼女はそこにはいませんでした。
そして僕は、オベリスクの天辺まであと少しの場所で膝を抱えて座り込み、子供のように声を上げて泣きました。
嗚咽を漏らしながら子供のようにずっと泣き続けました。
いつまでもいつまでも泣き続けました。
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