alone in the mountain
なぜ単独行か?
僕がひとりで登る理由



 僕は、ひとりじゃないと誰かを不幸にする。


 22歳、僕はひとりぼっちで日本一周のバイクツーリングに出かけた。半年以上にわたる一人旅だった。


 その一人旅はとても気楽だった。好きな時に好きな場所に行け、好きな時に好きなだけのんびりできた。
 晴れれば気が向くままにバイクを走らせ、雨が降れば雨がやむまでテントの中で小説を読みふける。そんな気ままな旅が、自分の性に合っていた。


 その旅が終わり2年後、僕は当時付き合っていた彼女と同棲をはじめた。しかし、暮らし始めて半年目で「ふたり」という生活に息がつまり、僕は何も言わずに部屋を飛び出した。

 その後も別の女性と同棲したが、やはり僕は「ふたり」という生活に耐えることができなかった。



「もう、別々に暮らそう」という僕の提案に彼女が出した答えは、自分の手首に刃物を当てることだった。


 僕は、ひとりじゃないと誰かを不幸にする。


 下界ですら、人と上手く交わることのできなかった僕に、山で他人と行動を共にすることなんて無理だろう。

 だから、僕はひとりぼっちで山に登る。





 でもホントは、歩くのが遅すぎて、同行者を不幸にしちゃうんだよね(w

「オマエと登ってたらスケジュール通りに進まねぇじゃねーか!」
「オマエのせいであの滝も、あの花も見に行けねぇじゃねーか!」

 もういいよ!一人で登るよ!
 遭難したって探さなくてもいいよ!ふんっ!!

 と、前半の文章をあやふやにして、蛇に足を書き込んだところで筆を置くことにしよう。



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